賃貸の壁に穴をあけてしまったら、火災保険は適用されるのでしょうか。
子どもがおもちゃを投げて壁に穴をあけるのは、日常生活でよくあるトラブルの1つです。
本記事では、壁に穴をあけた場合に火災保険は適用されるかどうかを、賃貸と持ち家、他人の家と3つのシチュエーションで解説します。
言い訳(理由)によっては、火災保険が適用されない可能性があるので注意しましょう。
本記事を最後まで読むとわかること
- 壁に穴をあけた場合、言い訳によっては火災保険が適用されない!
- 賃貸なら、借家人賠償責任保険(破損・汚損)に付帯しているか?
- 持ち家なら、火災保険の建物が対象になっているか?
- 他人の家なら、個人賠償責任保険に加入しているか?
賃貸の壁に穴をあけたら火災保険は使えるのか?
賃貸の壁に穴をあけたら、火災保険は使えるのでしょうか?
賃貸と持ち家、他人の家の3つのシチュエーション別に適用されるかどうかを紹介します。
賃貸の壁に穴をあけたら?
賃貸の壁に穴をあけたら、借家人賠償責任保険(破損・汚損)に付帯しているか確認しましょう。
借家人賠償責任保険は、入居者が賃貸物件の持ち主である大家さんに対して、損害賠償責任が発生した場合に賠償する保険です。
入居者は退去時に入居後に発生した傷や汚れを修理し、入居時と同じように現状回復させる義務があります。
賃貸住宅を傷つけてしまうと、大家さんに賠償金を支払わなければなりません。
借家人賠償責任保険は大家さんに支払うべき賠償を補償してくれるので、入居時の加入条件として提示される場合が多いです。
壁に穴をあけた場合も、この借家人賠償責任保険が適用されます。
ただし、借家人賠償責任保険に「破損・汚損(不測かつ突発的な事故)」が付帯されていないと、補償されないので注意してください。
共済や少額短期保険の借家人賠償責任保険は、「火災」「破裂・爆発」「水濡れ」被害のみが対象なのが一般的です。
つまり、共済や少額短期保険で加入すると、「破損・汚損(不測かつ突発的な事故)」が付帯されていないかもしれません。
東京海上日動や損保ジャパンなどの大手損保だと、借家人賠償責任保険に「破損・汚損(不測かつ突発的な事故)」が付帯されている確率は高いです。
加入時に「破損・汚損(不測かつ突発的な事故)」が補償されているか、きちんと確認することをおすすめします。
持ち家の壁に穴をあけたら?
持ち家の壁に穴があいたら、火災保険の補償対象が「建物」かつ「破損・汚損(不測かつ突発的な事故)」を付帯しているか確認しましょう。
家の壁は住宅にくっついていますよね?だから、建物の補償対象となります。
家財保険しか加入していないなら、壁に穴があいても火災保険は適用されません。
他人の家の壁に穴をあけたら?
他人の家の壁に穴をあけてしまったら、「個人賠償責任保険」が適用されます。
個人賠償責任保険とは、個人またはその家族が他人に誤ってケガをさせてたり、他人の物を壊したりしたなど、法律上の損害賠償責任を負った場合に損害を補償する保険です。
個人賠償責任保険は、火災保険以外にも自動車保険や生命保険などに付帯できます。
余談ですが…
加入したことを忘れがちな補償なので、どの保険で加入したかを一度確認してみてください!
もしかしたら、重複している可能性があります。
個人賠償責任保険は重複加入しても、実損額しか補償されません。
つまり、高額な補償が重複していると、無駄な保険料を払っていることになります。
壁に穴をあけた言い訳によっては火災保険は使えない
火災保険に加入していても、壁に穴をあけた言い訳(理由)によっては火災保険が使えないかもしれません。
言い訳(理由)別に火災保険が使えるか使えないかを解説します。
わざと壁を殴ったので穴があいた
わざと壁を殴って穴が開いた場合は、火災保険は適用されません。
東京海上日動では以下のように記載されています。
借家人賠償責任保険金の保険金を支払わない主な損害
ご契約者、被保険者またはこれらの法定代理人の故意の損害
引用:東京海上日動
火災保険は、契約者の故意や重大な過失による損害は補償されないのが一般的です。
DIYで壁に穴があいた
棚などを設置するために、DIYで壁に穴をあけた場合は、故意による事故と判断される確率が非常に高いです。
何度も言いますが、火災保険は故意による事故は補償されません。
カレンダーを飾るために、画鋲で賃貸の壁に穴をあけるレベルだと、大家さんから原状回復義務を求められないのが一般的です。
ただし、あまりにも大きな穴だと、大家さんによっては修理費用を請求されるでしょう。
DIYをする場合は、突っ張り棒やマスキングテープなど賃貸の壁を傷つけないアイテムを活用することをおすすめします。
引っ越しや模様替えで壁に穴をあけた
引っ越しや模様替えで、テーブルやテレビを運んでいる際に不注意により壁に穴をあけてしまった場合はどうなるのでしょうか。
「破損・汚損(不測かつ突発的な事故)」に加入していれば、予測できない事故による破損にも火災保険が適用されます。
三井住友海上(すまいの火災保険)にも以下のように記載されています。
保険金をお支払いする事故の説明
破損、汚損等
不測かつ突発的な事故をいいます。ただし、事故または台風、暴風雨、豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石等によって損害を被る事故を除きます。
引用:三井住友海上
引っ越し業者が搬入で壁に穴を開けた場合は、引っ越し業者に修理費用を請求できます。
荷物の搬入が完了したら引越し業者と一緒に、引越し作業で付いた傷や穴がないか確認することを忘れないようにしましょう。
うっかり壁に穴をあけてしまったら?火災保険の請求方法
故意ではなくうっかり壁に穴をあけた場合は、火災保険の請求をしましょう。
火災保険の請求方法は以下のとおりです。
- 穴をあけてしまった壁の写真を撮影する
- 保険会社(代理店)へ被害の連絡をする
- 修理費用の見積りを依頼する
- 保険会社から郵送された申請用紙を記入する
- 保険会社へ申請用紙や見積書、破損箇所の写真を送る
- 保険会社が破損箇所の査定をする
- 火災保険の適用内と判定されれば、保険会社から保険金が振り込まれる
「これって火災保険で補償されるのかな?」と迷ったなら、加入している保険会社か代理店に相談しましょう。
また、火災保険の申請期限は損害が発生してから3年以内です。
損害から時間が経つと、経年劣化と見なされ、保険金が請求できないかもしれません。
壁に穴をあけてしまったら、早めに対応することをおすすめします。
壁に穴をあけた言い訳によっては火災保険が適用されないので注意しよう
うっかり壁に穴をあけてしまったなら、火災保険が適用されます。
ただし、加入中の補償内容や免責金額が設定してあると、請求ができない可能性も。
何度も何度も言いますが…火災保険は契約者の故意による過失により生じた損害は補償しません。
「イライラして壁を殴ったら穴があいた!火災保険金で修理費用を貰おう」
安易な考えで火災保険を請求すると、虚偽申告と判断されます。
虚偽申告がバレると保険会社のブラックリストに載るか、保険金詐欺で罪に問われるリスクも十分にあります。
「これは火災保険で修理できるかな?」と迷ったなら、まずは保険会社か代理店に相談しましょう。
火災保険を賢く利用し、正しい手続きで修理費用を請求してくださいね。