火災保険の建物に関する保険金額を決定するためには、建物の価値(建物評価額)を決める必要があります。
例えば、1,500万円の価値しかない建物に3,000万円の保険金は請求できません。
「建物評価額はどうやって決まるの?」
特に中古物件を購入された方は、建物評価額がわかりにくいかもしれません。
本記事では、火災保険の建物に関する建物評価額をどのように決めるのかを解説します。
建物評価額の試算方法を知れば、保険金を請求する時に困りません。
住宅を購入された方や、中古物件で不動産投資を始めたい方は必見ですよ!
本記事を最後まで読むとでわかること
・建物評価額を算出する方法は、年次別指数法と新築単価法がある
・建築年月や新築で購入した金額がわかるなら、年次別指数法
・新築で購入した金額がわからないなら、構造級別や面積、用途などで簡易評価する新築単価法
建物評価額の出し方とは?
建物評価額とは、建物の価値を示す金額のことです。
評価の仕方は、新価(再調達価額)と時価の2通りあります。
それぞれの評価方法についてまとめました。
新価
新価は、建物を新たに建築あるいは再購入するのに必要な金額です。
時価
時価は、建物を再調達した時の価格から、経年劣化や使用による消耗分を差し引いた金額を指します。
つまり、今の建物そのものの値段です。
ちなみに…
自動車保険や賠償責任保険の対象に関する保険金は、時価ベースで算出されるのが一般的です。
近年は新価が主流です。
しかし、一昔前の火災保険だと時価で建物が評価されているかもしれません。
時価での契約の場合、建て直しするための費用を保険金だけでは、十分に賄えない可能性があります。
万が一に備えて、加入中の火災保険の評価方法を確認するのもおすすめです。
建物が新築の場合
建物が新築の場合、土地代や諸経費を除いた建物の価格が新価の建物評価額です。
建売のような土地と建物をまとめて購入した場合、建物だけの購入金額がわからないかもしれません。
その場合、売買契約書にある消費税額から建物価格額を算出できます。
土地代は消費税の課税対象外であり、売買契約書に記載してある消費税額はすべて建物に課税されているからです。
消費税額=建物の評価額×消費税率(0.10)
つまり
建物の評価額=消費税額÷消費税率(0.10)で求められます。
中古(新築以外)の場合
中古物件で古い建物でも、メンテナンスが適切に実施された居住用の建物であれば、新価で保険金額を設定できます。
中古物件を購入した場合の建物評価額の算出方法は、以下の2つです。
- 年次別指数法
- 新築費単価法
建築年と土地代を含まない建物の購入価格がわかる場合は、年次別指数法で算出します。
年次別指数法なら、建物の購入価格に建築年に応じた指数を乗じることで、物価変動を反映させた建物の評価額(再調達価格)を算出することが可能です。
建築された当時の評価額を使用するため、より正確な保険金額がわかります。
新築費単価法は、建物の建築年や建築価額がわからない場合に用いられます。
建物の延べ床面積に、所在地や建物の構造別の平均単価を乗じて、概算の金額を算出する方法です。
平均単価は、保険会社によって数値が異なります。
概算金額が算出されるので、より実態に合わせてプラスマイナス30%の範囲で評価額を増減することも可能です。
まとめ
マンションの場合の注意点
マンションの場合は、購入金額に専有部分の建物の価格と共用部分の価格や土地代も含まれているので注意が必要です。
火災保険をかけるのは専有部分のみになります。
新築費単価法により、マンションの所在地と延べ床面積から建物の専有部分の評価額を算出することが可能です。
保険金額は建物評価額と同額にするのがベスト!
保険金額は、建物評価額と同額にすることをおすすめします。
建物が損害を受けた際に、建物の価値分の保険金額を受け取るためには、保険金額は建物の価値と同じ金額をかけるのが一般的です。
例えば、保険金額が建物評価額よりも少なかったと仮定しましょう。
評価額が1,000万円の建物に保険金額を500万円と設定した場合、保険金支払いの上限額は500万円になります。
保険料は抑えられますが、500万円を超える損害が発生しても、500万円までしか保険金を請求できません。
実際に「思ったよりも請求できる保険金が少なかった…」トラブルに発展するケースも多々あると聞きます。
一方で、保険金額が建物評価額よりも多く設定したと仮定します。
評価額が1,000万円の建物に2,000万円の保険金額を設定しても、請求できる保険金は1,000万円までです。
保険金額が大きければ大きいほど保険料は高くなります。
火災保険は実際の損害額以上に保険金は支払われないため、保険料の無駄払いとなってしまうので注意してくださいね!